「明治大正ロマンス ~知らない間に旦那様が変わっていました~」
「そういえば、珠子を連れ去ったとかいう君、次郎くんという名らしいね」

 も、申し訳あございません、と頭を下げかけた次郎に父は言う。

「漢字は違うようだが、私も二郎というのだよ。
 いい名だと自分で思っている。

 面倒くさいことは長男の本家に押し付けて。
 没落するのも未来を切り開くのも、自分の腕一本。

 自由に生きられる名だ!」

「お父様っ」

 ……なんか二人で盛り上がってるから、私は列車で帰ろうかな。

 店閉めっぱなしだし、と次郎と父を見ながら、珠子は思っていた。

 


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