「明治大正ロマンス ~知らない間に旦那様が変わっていました~」
次郎、語る
「珠子さんは俺を蔑んでいる」
ある日、そんなことを次郎に言われた珠子は、
「そんなことありませんわ」
と微笑んだ。
「だって、俺は『次郎さん』で、晃太郎は『晃太郎様』なんだが」
そういえば、池田様は、池田様ですわね、と珠子は内心思っていたが、
「そんなことないですよ。
あの、氷コーヒーいかがですか?」
と晃太郎に買ってもらったミルでコーヒー豆を轢いて誤魔化そうとする。