「明治大正ロマンス ~知らない間に旦那様が変わっていました~」
「珠子様じゃありませんかっ。
 お懐かしいっ。

 今、どうしてらっしゃるんですのっ!?」

 そう言いながら、最初は歓喜に満ち満ちていた彼女の表情が暗くなる。

「今、神田の外れで古書店をやってますの。
 今度、ぜひ、いらしてくださいね」

「まあ、珠子様、古書店なんて……」

 彼女はそこでようやく、晃太郎を見た。

 ぺこりと頭を下げる。

「女学校で一緒だった。
 涼子(りょうこ)さんです」
と珠子は彼女を紹介した。

 涼子は珠子より一学年下だったのだが、早くに嫁入り先が決まって、学校はすぐに辞めてしまった。

 そもそも、女学校は卒業まで残っている者の方が珍しい。

 珠子も途中で辞めていたが、それは単に経済的な理由により、通えなくなったからだった。

「こちら、岩崎様です」

「まあ、よかった」
と涼子はホッとした顔をする。
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