「明治大正ロマンス ~知らない間に旦那様が変わっていました~」
「私、上田善子と申します。
あなたのおじさまが決められたあなたの結婚相手ですわ」
……決めたのは父親ではないのか、と思っていると、善子は渋い顔をし、
「私と同じ女学校の来間さんて方を晃太郎様のお父様は推していらっしゃるらしく、お祖父様はまた別の方を推してらっしゃるようなんですけど。
私はもう晃太郎様に決めましたわ」
と言う。
彼女の後ろで待っている彼女の家の使用人らしき若い男が、
ほんとうに申し訳ございません……という顔でこちらを見ている。
「お嬢様、食べたらすぐに帰りましょう。
ご迷惑ですよ」
と小声で善子に言っていた。
「あら、どうして、私がいたら、迷惑なの?」
「ここで揉め事はちょっと」
と彼は周囲を窺う。
当時の上野精養軒はまだまだ敷居が高く、身分の高い人たちや著名人たちのちょっとした社交場のような雰囲気だった。
「うるさいわね、山内。
じゃあ、みんなで外に出て話しましよう」
――なんだって!?
と珠子は目を見開く。
今まで、しとやかにしていた珠子の変化にまず気づいたのは、晃太郎だった。
善子は山内の方を見ていて、まるで気づいていない。
あなたのおじさまが決められたあなたの結婚相手ですわ」
……決めたのは父親ではないのか、と思っていると、善子は渋い顔をし、
「私と同じ女学校の来間さんて方を晃太郎様のお父様は推していらっしゃるらしく、お祖父様はまた別の方を推してらっしゃるようなんですけど。
私はもう晃太郎様に決めましたわ」
と言う。
彼女の後ろで待っている彼女の家の使用人らしき若い男が、
ほんとうに申し訳ございません……という顔でこちらを見ている。
「お嬢様、食べたらすぐに帰りましょう。
ご迷惑ですよ」
と小声で善子に言っていた。
「あら、どうして、私がいたら、迷惑なの?」
「ここで揉め事はちょっと」
と彼は周囲を窺う。
当時の上野精養軒はまだまだ敷居が高く、身分の高い人たちや著名人たちのちょっとした社交場のような雰囲気だった。
「うるさいわね、山内。
じゃあ、みんなで外に出て話しましよう」
――なんだって!?
と珠子は目を見開く。
今まで、しとやかにしていた珠子の変化にまず気づいたのは、晃太郎だった。
善子は山内の方を見ていて、まるで気づいていない。