「明治大正ロマンス ~知らない間に旦那様が変わっていました~」
 確か、珠子の好きな水族館もあるはずだ。

 珠子はそういう珍しいものが集まってるところが好きそうではあるが――。

「大阪か。
 泊まりになるな」
と晃太郎は不安そうに言う。

「いや、金払って、買ってるんだろ、その女」

「金出してるのは池田なんだが」
と言って、

「相変わらず、そこはややこしいままか」
と言われる。

「珠子の給金は、結婚祝いだと言われたんだ」

「結婚祝いに妾をあてがうってどうなんだ、池田……」

 池田は坊ちゃん育ちなので、普通の感覚とは違い、変わっている。

 そう思う自分たちも人から見たら、ずいぶんと変わっているのだろうが。

 だが、そうだ、と晃太郎は気がついた。

 このままでは、いつまでも珠子の所有権は池田にある。

 いつ気が変わってとりあげられるかわからないし――。

 珠子を自由にしてやりたい。
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