「明治大正ロマンス ~知らない間に旦那様が変わっていました~」
「……そういや、高平は養子だったなあ」
となにごとにも動じない池田は、ひとり手酌酒を呑んで笑っている。

「いや、好き勝手しろと言ったのは、お前でっ。
 俺はなにもしてないぞっ」

「あんな年端もいかない娘にっ」

「いやいやいやっ。
 お前が別れたときは年端のいかない娘だったかもしれないがっ。

 今はもう、行き遅れそうないい年だぞっ!?」

 あまりの騒がしさにやってきた仲居に、池田が、
「酒おかわり」
と笑顔で、カラのとっくりを振ってみせる。








 
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