「明治大正ロマンス ~知らない間に旦那様が変わっていました~」
「なんだ。
お兄様でしたの」
久しぶりに声を聞いたのでわからなかったな、と珠子は思う。
「珠子っ。
次々違う男に買われるとかっ。
お前がそんなことになっていたなんてっ」
「……あの、お兄様、言い方がいかがわしいですわ」
「お前を引き取りたいのはやまやまだが、俺も養子に入っている身。
どうしてやったらいいのか」
「あ、大丈夫です」
と珠子は兄の嘆きを一蹴する。
「お兄様、珠子はそれなりに楽しく暮らしていますから」
ご心配なさらないで、と珠子が言ったとき、電話交換手が割り込んできて、通話時間の終わりを告げた。