「明治大正ロマンス ~知らない間に旦那様が変わっていました~」
「今度会いに行けばいいだろう? 高平」
と言う晃太郎の声が聞こえてくる。

 不思議だな、と珠子は思った。

 実の兄よりも、今は晃太郎様の方を近しく感じる――。

「またな、珠子」
と晃太郎の声が聞こえ、電話は切れた。

 ……なんか怒涛の騒ぎだったな、と思いながら、珠子は部屋に戻り、本の続きを読もうと思ったが、頭に入ってこなかった。

 さっきまで、先へ先へと読みたかった本なのに。

 どうしたことだ。

 本の中で起こる出来事より、現実に起こることの方が、いつも奇奇怪怪だからだろうか。


 

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