「明治大正ロマンス ~知らない間に旦那様が変わっていました~」
 



 夜も更け。
 珠子がもう一度、戸締りを、と思ったとき、誰かが店の戸を叩いた。

 晃太郎だった。

「今日は突然、すまなかった」
と謝る彼を店の中に通す。

「お前が高平の妹だったとは――」

「高平家が兄を引き取るとき、三条とは縁を切ることが条件でしたので」
と珠子は笑って言った。

「何故だ。
 三条といえば、元は公家だろう」

「うちは分家ですし。
 うちの父は、ほんとうにどうしようもない山師のような人で――。

 このままでは、兄まで駄目になると思った父の友人の高平様が兄を引き取ってくださったのです。

 今後一切、連絡はとらないという約束で」

「それで、山師の父親は消えたそうだが」
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