望みゼロな憧れ騎士団長様に「今夜は帰りたくない」と、良くわからない流れで言ってしまった口下手令嬢に溺愛ブーストがかかってから
 私に声を掛けてもらって嬉しかった事や、これからこうしたいなどと様々書かれてあったのだけど、心がじーんとして温かくなった。

 ああ……なんだか、よくわからない事になってしまっているけれど、ハビエル様は外見も良ければ、内面も素敵な方なのだ。

 そんな人にいつまでも自分の弱みを隠したままでなんて、そんな不誠実なことができる筈もない。

 それに、エリアスも言っていたわ。

 ……言葉でなく文字ならば、異性と上手く話せない私の気持ちを、ハビエル様に伝えることが出来るのでは? と。

 エリアスが早馬で手紙を送れば、お母様は同じように早馬で返すはずだ。

 宿で手紙を受け取り返事が帰って来るのはおそらくは、今夜真夜中辺り。エリアスの言葉通り、ハビエル様の傍が一番安全だとするならば、私は彼の邸に滞在する方が良さそう。

 だとするのならば、ハビエル様に私のこと……私の考えている事を伝えるのならば、早い方が良い。

 そう決心した私は、ハビエル様への手紙を書く事にした。直接、私が届けてしまえば良いのよ。


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