望みゼロな憧れ騎士団長様に「今夜は帰りたくない」と、良くわからない流れで言ってしまった口下手令嬢に溺愛ブーストがかかってから
 エリアスは次期バタンデール伯爵として、様々な政治的な役目を任されていて、城の中でも執務室を持っている。

 おそらくは様子のおかしい私を見に来るように母に頼まれただけで手紙を書いたら、このまま城へと向かうはずだ。

 とは言え、ハビエル様の邸に滞在する事になるのなら、毎日エリアスに頼るわけにはいかない。そうすると、何故かエリアスも一緒に滞在する事になるわ。それは流石に私が嫌。

 はーっと大きくため息をついて、私は自室へと戻った。

 そこにはハビエル様からの何通かの手紙の中に、イザベラの手紙が混じっていた。彼女はこの前ハビエル・クラレットと、何処かに消えていった私に何があったか楽しそうに尋ねていた。

 ……イザベラも、知らないのよね。

 ハビエル様には近寄らないようにって、彼に関する様々な噂が流れていたけれど、あからさまな『マチルダ様のお気に入り』だから、と言う噂ではないところに彼女のとてつもなく高いプライドを感じるわ。

 続いて、ハビエル様からの手紙を読んだ。

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