望みゼロな憧れ騎士団長様に「今夜は帰りたくない」と、良くわからない流れで言ってしまった口下手令嬢に溺愛ブーストがかかってから

13 石板

 私の差し出した石板の文字を見たハビエル様は、青い目を大きく見開いた。

 そんな彼の顔を見ながら、これからどんな反応を見せるのかと、私は非常に緊張していた。

 つい先ほどのロイクさんの言葉を聞くまでは、私だって、そんなことを考えつきもしなかった。

 そうよ。気が付くはずもない……なんなら、自らを道化として見せるような演技で、ハビエル様が王女様の縁談という本来ならば断れないだろう話を有耶無耶にしているのかもしれないなんて……そんな。

 私たちにはわからなかった。けれど、これが事実であるとすると、あんなあからさまな好意に気が付いて居ない……そういう理由だって、理解をすることが出来る。

「参ったな。シャーロットは、本当に可愛いな……俺も君の事が、好きだよ」

 ん……あれ? え? どういう意味に、取られたんだろう?

 私は自ら書いた石板の文字を見直した。別にマチルダ様のことを気にして、私がやきもち妬いてるって意味にもなってないよね? どういうことなの?

 不思議に思ってハビエル様を見れば、彼は私に目線を合わせてにっこり微笑んだ。わ……ここで何も関係ないけど、格好良い。

 そして、ハビエル様が大きな手が石板をひょいっと取って、カツカツと流麗な文字がそこに書かれた。

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