忌み子の私に白馬の王子様は現れませんでしたが、代わりに無法者は攫いにきました。
7話 パーティ
「おかえりなさーーーーい!!」
パアンッ!パンッ!パンッ!
帰ってきた私達が大広間に入るとクラッカーで出迎えられた。中にはラビィルさん、オオカミ型獣人のガルフ、神経質そうなナイゼルだけでなく今、アジトにいる者は全て集まっているようだった。
「な!?へぇ!?」
「ほら、アンタが今日の主役だ」
突然の音に目を白黒させる私の手を引いてヴィシャスが大広間に置かれたテーブルの最前列へと案内される。
席に座らせられると机の上に所狭しと鳥の丸焼きや木の実のスープ、手作りのホールケーキが運ばれてきた。
「なっ、なに…?!」
「うむ、いい食材が手に入ったのでな。遅ればせながらヌシの歓迎パーティーを開くことにしたのじゃ。ヴィシャスとヌシがデートしている間に儂等は準備をしておった」
状況が飲み込めない私にラビィルさんが説明してくれる。というかやっぱり、今日のデートだったんだ…。
「そ、そんな…わざわざ私なんかのために…」
気後れしてしまう。こんなに祝われたことなどない。
「いいんじゃ、いいんじゃ。それより聞いたぞ帝都でヌシが亜人を、セイウチの獣人を庇っておったとなぁ」
クカカッと機嫌よくラビィルさんが笑う。…こうして見ると血の繋がりがなくても態度とかヴィシャスに何となく似てる気がする。
「立派じゃ、立派。いい嫁じゃぁ」
だから結婚するつもりはない。
「まぁ難しいことはいいじゃん!今日はとりあえず楽しめよ!」
他人事みたいにヴィシャスが言う。彼は既にチキンに手を出していた。
「これっ!行儀が悪いぞ!。まだ乾杯しておらんじゃろ!」
「じゃー母ちゃん、始めてくれ」
まったく、この馬鹿息子は…、ぶつぶつ言いながらラビィルさんはグラスを手に取った。
「うむ!それでは皆の者!運命の魔痕の花嫁(予定)……ヴェルゼリア殿に!」
グラスを掲げる。
「カンパーイ!!」
乾杯の合図と共に飲み食いが始まった。
私は知らなかったけれど飲み会とはただ食べるのではなく交流を深めるためのものでもあるらしい。
皆、楽しそうに談笑している。
私の所にも人が来て色々と質問してきたり、逆にアジトでの暮らしや武勇伝を教えてくれたりもした。
「ねーねー魔痕ってどんなのなの?」
好奇心でいっぱいなある子供の一人がそんなことを聞いてきた。
思わずドキっとする。この痣にはいい思い出がないし、不吉な証を見たがる者もいなかった。
「えっと…」
「おいおい、ヴェルゼをあんま困らせるんじゃねーぞ」
雰囲気を察したのか、隣の彼が助け舟を出してくれた。
「あーっ!ヴィシャスがもう夫気取ってるーー」
「うっせーーー」
「…………見せてあげようか?」
勝手に口が開いてた。
「んー、いいのか?その…なんだ、初めてあった時…魔痕見られるの嫌がってたんだろ?あん時きゃ悪かったな。オレはどうも機微がわからねー」
あれはただ服を切り裂かれ胸元を見られたからである。魔痕じゃないんだけど…。と言っても話の腰が折れそうだ。
「いいよ…少しだけなら…」
ここまで歓迎されたこともあるし、相手は子供だ。それに、どんな反応をされるか怖いけれど知りたい気もする。
「ん…」
ヴィシャスには見えない確度で服の胸元部分を下げて魔痕がある部分を見せる。
「へーーー」
子供の視線が三日月が重なった形の痣に集中していた。何を言われるか緊張で心臓が早鐘のようだった。
「カッコいいね!」
「!」
嬉しかった…。拒絶を示す反応でなかったことが。
思えば生まれてから人とこんなに過ごしたり話したことはヴィシャス達のアジトに来るまでなかった。
世界に自分がいてもいい場所が存在するとは思えなかった。
大広間でどんちゃん騒ぎをする皆を見回す。
「…………」
初めて自分が世界の一部になれた気がしていた。
パアンッ!パンッ!パンッ!
帰ってきた私達が大広間に入るとクラッカーで出迎えられた。中にはラビィルさん、オオカミ型獣人のガルフ、神経質そうなナイゼルだけでなく今、アジトにいる者は全て集まっているようだった。
「な!?へぇ!?」
「ほら、アンタが今日の主役だ」
突然の音に目を白黒させる私の手を引いてヴィシャスが大広間に置かれたテーブルの最前列へと案内される。
席に座らせられると机の上に所狭しと鳥の丸焼きや木の実のスープ、手作りのホールケーキが運ばれてきた。
「なっ、なに…?!」
「うむ、いい食材が手に入ったのでな。遅ればせながらヌシの歓迎パーティーを開くことにしたのじゃ。ヴィシャスとヌシがデートしている間に儂等は準備をしておった」
状況が飲み込めない私にラビィルさんが説明してくれる。というかやっぱり、今日のデートだったんだ…。
「そ、そんな…わざわざ私なんかのために…」
気後れしてしまう。こんなに祝われたことなどない。
「いいんじゃ、いいんじゃ。それより聞いたぞ帝都でヌシが亜人を、セイウチの獣人を庇っておったとなぁ」
クカカッと機嫌よくラビィルさんが笑う。…こうして見ると血の繋がりがなくても態度とかヴィシャスに何となく似てる気がする。
「立派じゃ、立派。いい嫁じゃぁ」
だから結婚するつもりはない。
「まぁ難しいことはいいじゃん!今日はとりあえず楽しめよ!」
他人事みたいにヴィシャスが言う。彼は既にチキンに手を出していた。
「これっ!行儀が悪いぞ!。まだ乾杯しておらんじゃろ!」
「じゃー母ちゃん、始めてくれ」
まったく、この馬鹿息子は…、ぶつぶつ言いながらラビィルさんはグラスを手に取った。
「うむ!それでは皆の者!運命の魔痕の花嫁(予定)……ヴェルゼリア殿に!」
グラスを掲げる。
「カンパーイ!!」
乾杯の合図と共に飲み食いが始まった。
私は知らなかったけれど飲み会とはただ食べるのではなく交流を深めるためのものでもあるらしい。
皆、楽しそうに談笑している。
私の所にも人が来て色々と質問してきたり、逆にアジトでの暮らしや武勇伝を教えてくれたりもした。
「ねーねー魔痕ってどんなのなの?」
好奇心でいっぱいなある子供の一人がそんなことを聞いてきた。
思わずドキっとする。この痣にはいい思い出がないし、不吉な証を見たがる者もいなかった。
「えっと…」
「おいおい、ヴェルゼをあんま困らせるんじゃねーぞ」
雰囲気を察したのか、隣の彼が助け舟を出してくれた。
「あーっ!ヴィシャスがもう夫気取ってるーー」
「うっせーーー」
「…………見せてあげようか?」
勝手に口が開いてた。
「んー、いいのか?その…なんだ、初めてあった時…魔痕見られるの嫌がってたんだろ?あん時きゃ悪かったな。オレはどうも機微がわからねー」
あれはただ服を切り裂かれ胸元を見られたからである。魔痕じゃないんだけど…。と言っても話の腰が折れそうだ。
「いいよ…少しだけなら…」
ここまで歓迎されたこともあるし、相手は子供だ。それに、どんな反応をされるか怖いけれど知りたい気もする。
「ん…」
ヴィシャスには見えない確度で服の胸元部分を下げて魔痕がある部分を見せる。
「へーーー」
子供の視線が三日月が重なった形の痣に集中していた。何を言われるか緊張で心臓が早鐘のようだった。
「カッコいいね!」
「!」
嬉しかった…。拒絶を示す反応でなかったことが。
思えば生まれてから人とこんなに過ごしたり話したことはヴィシャス達のアジトに来るまでなかった。
世界に自分がいてもいい場所が存在するとは思えなかった。
大広間でどんちゃん騒ぎをする皆を見回す。
「…………」
初めて自分が世界の一部になれた気がしていた。