囚われの聖女は俺様騎士団長に寵愛される
次の日――。
レオンは、休暇が取れたから街に出かけようと言ってくれたが、急な仕事が入ってしまったらしく、私はできる限りの雑用をこなしていた。
彼が今まで通りの生活ができるよう、配慮してくれたのだ。
執事長とメイド長はなんだか態度がぎこちないけれど、役に立ちたいという想いが強くなった。
二週間後――。
レオンと共に街に出かける機会ができた。
私も王都へ行ったことがなかったので、楽しみにしていた。レオンが用意してくれたドレスを着れることも嬉しい。
「綺麗だ。似合っている」
そんな言葉をかけられ、浮かれていたのかもしれない。
いつものブローチをせず、ドレスに合った色合いのブローチを選択した。
「レオンが一緒だから大丈夫よね」
不安要素などなかった。
二人で街を歩いていると
「泥棒だ!誰か!助けてくれ!!」
そんな声が聞こえた。
「レオン!行ってください!私は大丈夫です。騎士様たちと一緒にいるので」
私たちには一応、護衛の騎士、三名が同行していた。
「わかった!すぐ戻る」
レオンは一人の騎士をつれ、声の方向へと走って行った。
「アイリス様。巻き込まれたら危ないです。避難しましょう」
二名の若い騎士と一緒に、乗ってきた馬車が駐めてある広場へと移動している時だった。
黒服の男が急に現れ、私たちの前に立ちはだかった。
「なんだお前は!?」
以前見たことのある、魔導師に似ている。
けれど、あいつはレオンが倒したし……。
騎士が剣を取り出そうとした時――。
「うわぁぁ!!」
魔導師が何かを唱えたかと思うと、もう一人の騎士を刺していた。
「な……」
ガクンと膝から崩れ、地面には血だまりができている。こんな深い傷、早く手当てをしなきゃ。
でも治癒力を使ったら……。
ううん、そんなことを考えている時間はないわ。
私は意識を集中させ、倒れている騎士に力を注いだ。
「う……、あ……」
良かった、意識は取り戻したみたい。
ホッとしたのも束の間
「アイリス様、離れてください!身体がいうことをきかない……!」
騎士の剣の切先が私へと向けられていた。
魔導師に操られているの?
レオン、助けて……。
ブローチへ願おうとした。
けれど、今日は着けていないんだった。
自分の状況に絶望と恐怖を感じる。
騎士の剣が私に振り下ろされるも、彼も抗おうとしているためか、速度が緩やかだ。
ギリギリのところで攻撃を避けるも、ヒールが石に躓き、転倒してしまった。
キラリと光る切先が見える。
ああ、昔は自分から死のうとしていたのに。
今は死にたくない、レオンと一緒に生きたい。
剣が私に向かって振り下ろされた。
目をギュッと閉じる。
が、しばらくしても痛みは感じなかった。
人の気配を感じ、目を開けると
「レオン!!」
私の代わりに彼が刺され、大量に出血していた。
レオンは、休暇が取れたから街に出かけようと言ってくれたが、急な仕事が入ってしまったらしく、私はできる限りの雑用をこなしていた。
彼が今まで通りの生活ができるよう、配慮してくれたのだ。
執事長とメイド長はなんだか態度がぎこちないけれど、役に立ちたいという想いが強くなった。
二週間後――。
レオンと共に街に出かける機会ができた。
私も王都へ行ったことがなかったので、楽しみにしていた。レオンが用意してくれたドレスを着れることも嬉しい。
「綺麗だ。似合っている」
そんな言葉をかけられ、浮かれていたのかもしれない。
いつものブローチをせず、ドレスに合った色合いのブローチを選択した。
「レオンが一緒だから大丈夫よね」
不安要素などなかった。
二人で街を歩いていると
「泥棒だ!誰か!助けてくれ!!」
そんな声が聞こえた。
「レオン!行ってください!私は大丈夫です。騎士様たちと一緒にいるので」
私たちには一応、護衛の騎士、三名が同行していた。
「わかった!すぐ戻る」
レオンは一人の騎士をつれ、声の方向へと走って行った。
「アイリス様。巻き込まれたら危ないです。避難しましょう」
二名の若い騎士と一緒に、乗ってきた馬車が駐めてある広場へと移動している時だった。
黒服の男が急に現れ、私たちの前に立ちはだかった。
「なんだお前は!?」
以前見たことのある、魔導師に似ている。
けれど、あいつはレオンが倒したし……。
騎士が剣を取り出そうとした時――。
「うわぁぁ!!」
魔導師が何かを唱えたかと思うと、もう一人の騎士を刺していた。
「な……」
ガクンと膝から崩れ、地面には血だまりができている。こんな深い傷、早く手当てをしなきゃ。
でも治癒力を使ったら……。
ううん、そんなことを考えている時間はないわ。
私は意識を集中させ、倒れている騎士に力を注いだ。
「う……、あ……」
良かった、意識は取り戻したみたい。
ホッとしたのも束の間
「アイリス様、離れてください!身体がいうことをきかない……!」
騎士の剣の切先が私へと向けられていた。
魔導師に操られているの?
レオン、助けて……。
ブローチへ願おうとした。
けれど、今日は着けていないんだった。
自分の状況に絶望と恐怖を感じる。
騎士の剣が私に振り下ろされるも、彼も抗おうとしているためか、速度が緩やかだ。
ギリギリのところで攻撃を避けるも、ヒールが石に躓き、転倒してしまった。
キラリと光る切先が見える。
ああ、昔は自分から死のうとしていたのに。
今は死にたくない、レオンと一緒に生きたい。
剣が私に向かって振り下ろされた。
目をギュッと閉じる。
が、しばらくしても痛みは感じなかった。
人の気配を感じ、目を開けると
「レオン!!」
私の代わりに彼が刺され、大量に出血していた。