クールな上司の〝かわいい〟秘密 ――恋が苦手なふたりは互いの気持ちに気づけない
「流石だな。既定人時で売場を作り上げ、時間内に完結させる。これができない店長が多い」
「え……」

 思わぬ褒め言葉にまごつき、ついそうこぼしてしまった。彼が今まで、こんなふうに褒めてくれたことなどあっただろうか。
 嬉しさからか鼓動が速まり、私は固まってしまう。

 そんな私から視線を外し、彼は新商品の並ぶ棚をぐるりと見回して続けた。

「販促物、トルソーの着せ替え。間違いひとつない」
「それは、スタッフの皆が頑張ってくれたからですよ」

 言いながら、高鳴る鼓動に静まれと言い聞かせた。
 事実、私の力だけで売場は作れない。真霜の的確な指示出しや、てきぱきと動いてくれるスタッフのおかげだ。

「……そうか」

 智田SVがそう言った頃には売場は完璧に作り終わっていて、スタッフは既に撤収していた。

< 14 / 206 >

この作品をシェア

pagetop