クールな上司の〝かわいい〟秘密 ――恋が苦手なふたりは互いの気持ちに気づけない
 不安のあった島崎のいる駅前の店舗から視察を始める。案の定、人時不足と的確でない売場指示のせいで、新商品の品出しがオープンに間に合わなさそうだ。
 この店では、大きなレイアウト変更時は、途中から智田が指揮を執るのが常になっている。今回もまた、だ。

(これは、また面談をしなければならないな)

 やる気だけは人一倍の島崎店長だ。だが、すぐに泣きそうな顔になるので強く言えない。どうしたものかと頭を抱えながら、他の店舗を回りショッピングモールへ向かった。

 不動店長から、売場改変は好調であるとの報告を受けている。ノベルティとして用意した子供向けの風船やシールも、家族連れの呼び込みにばっちりだとメールで知らせてくれた。

(俺が行く意味なんてないのかもしれないが、それでは不動に格好がつかないからな)

 せめて、彼女の前では頼りがいのある上司でいたい。そう思い、気合を入れ直してショッピングモールへと向かった。

 平日でも、昼を過ぎたショッピングモールは意外と賑わっている。他の店舗の顧客の年齢層を見たくて、智田は色々なテナントを見て歩きながらプレブロへと向かっていた。
 ファンシーな雑貨店、靴屋に駄菓子屋。プレブロの隣はベビー用品店だから、あの辺りにベビー連れの家族が多いのだと思っていた。だがこうして見ると、全体的にベビーカーを押している人の数が多い。

 ショッピングモールは、ベビー連れの家族でも安心して訪れられる場所のひとつなのだろう。不動店長はそこまで意識していたのだと思うと、改めて彼女の先見の明に驚かされる。

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