クールな上司の〝かわいい〟秘密 ――恋が苦手なふたりは互いの気持ちに気づけない
 それは、私が小学生になるかならないかくらいの頃の話。私の中に残る、一番幼い頃の思い出だ。

 母に連れられやってきた、まだ全国に数店舗しかなかったプレブロの店内で、私はジャケットを選んでいた。
 ラックに掛けられたものを自分で吟味し、欲しいと思ったのは二着。ふわふわのピンクのジャケットと、水色のおしゃれなジャケットだ。

『里咲、決まった?』
『んー、まだあ』

 決めかねていると、店員さんが鏡を持ってきてくれた。その子供服売場に、鏡は置いていなかったのだ。
 その後すごく悩んで、結局水色のジャケットを買ってもらった。その冬、何度もあのジャケットを着ては買い物のことを思い出していた。

 春になり、久しぶりに再び母とプレブロにを訪れた際、私は驚いた。子供服売場に、柱と一体型の鏡が設置されていたのだ。
 私は嬉しくて、鏡の前でファッションショーの如く色々な服を合わせては母にねだった。

 あの体験は、私にとって大切な思い出だ。だから、鮮明に覚えている。
 あのお店はもとより、子どもの私にも手に取りやすい商品陳列をしていた。今考えれば、親子でも買い物しやすいような導線になっていたとも思う。

 子供の頃に体験したような素敵な買い物体験ができる売場を、全店舗に作りたい。それが、私が本部で働きたい理由だ。

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