クールな上司の〝かわいい〟秘密 ――恋が苦手なふたりは互いの気持ちに気づけない
 無事に今日の業務を終える。ショッピングモールの従業員出入口を出ると、すぐそこで智田SVが待っていてくれていた。

「お疲れ様、不動店長」

 彼は今日は仕事はオフのはずだ。それなのに、彼はいつもと変わらぬ服装をしていた。リュックがないのだけ、いつもと異なるけれど。

「お疲れ様です、智田SV」

 言いながら、彼に駆け寄る。いつもと同じやりとりだが、これがプライベートだと思うとなんだかそわそわしてしまう。
 いつもより高鳴る胸で彼の隣に並んだが、すぐにちょっとだけ寂しくなった。

「行こうか」

 彼はそれだけ言うと、先に歩き始めてしまったのだ。
 あ、と思ったけれど、引き止めるのも違う気がする。真霜と結木くんみたいに仲睦まじくいられたらと思うけれど、私も智田SVもそんなキャラじゃない。

(これじゃ仕事と変わらないけれど、私たちにはこの距離がいいんだろうな)

 胸にやってきた切なさにそう言い聞かせ、私は智田SVの後に続いた。 

 彼の後ろをしばらく歩いてやってきたのは、SOUTH RIVERだった。扉を開くと、店主さんが私たちを歓迎してくれる。

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