クールな上司の〝かわいい〟秘密 ――恋が苦手なふたりは互いの気持ちに気づけない
(私も、彼の名前を呼ぶべきかな?)
ドキドキと高鳴る胸の内で、そんなことを思う。先ほど、彼は『お互いに』と言っていた。
だけど、彼の名を言おうと口を開くと、速まる心臓に呼応しているのか唇が震えてしまう。だったら黙ったままでいようと思ったが、今度は「言わなくていいの?」と胸の中の自分が問いかけてくる。
チャンスは今しかないかもしれない。そう思い、そっと口を開いた。
「私も茉寛さん、とお呼びしても……よろしいでしょうか?」
それでもやっぱり恥ずかしい。小さくなる語尾に反比例して、頬はどんどんと熱くなる。
「ああ、もちろんだ」
茉寛さんは前を向いたままで、その表情は変わらない。
(嬉しくないのかな。なんだか、私ばかり浮かれてるみたい)
やっぱり、言わないほうが良かっただろうか。沈んだ気持ちでいると、やがてタクシーがやって来た。
茉寛さんに促され、先に乗り込む。続けて彼も乗り込もうとした。
が、その時、鈍い音が車内に響いた。茉寛さんが、その縁に頭を打ち付けてしまったのだ。
彼はほんのり頬を染めった頬を隠すように、口元に手を当てている。
ドキドキと高鳴る胸の内で、そんなことを思う。先ほど、彼は『お互いに』と言っていた。
だけど、彼の名を言おうと口を開くと、速まる心臓に呼応しているのか唇が震えてしまう。だったら黙ったままでいようと思ったが、今度は「言わなくていいの?」と胸の中の自分が問いかけてくる。
チャンスは今しかないかもしれない。そう思い、そっと口を開いた。
「私も茉寛さん、とお呼びしても……よろしいでしょうか?」
それでもやっぱり恥ずかしい。小さくなる語尾に反比例して、頬はどんどんと熱くなる。
「ああ、もちろんだ」
茉寛さんは前を向いたままで、その表情は変わらない。
(嬉しくないのかな。なんだか、私ばかり浮かれてるみたい)
やっぱり、言わないほうが良かっただろうか。沈んだ気持ちでいると、やがてタクシーがやって来た。
茉寛さんに促され、先に乗り込む。続けて彼も乗り込もうとした。
が、その時、鈍い音が車内に響いた。茉寛さんが、その縁に頭を打ち付けてしまったのだ。
彼はほんのり頬を染めった頬を隠すように、口元に手を当てている。