クールな上司の〝かわいい〟秘密 ――恋が苦手なふたりは互いの気持ちに気づけない
一日の休みを経てリフレッシュした、翌勤務日。
店舗に着きパソコンを開くと、珍しく店舗宛のメッセージが届いていた。差出人は本部。件名は、【売場改変の御礼とモデル店舗の評判について】だ。
ざっと目を通すと、なぜ私宛ではなく店舗宛に送られてきたのかがわかった。本部はこれを、スタッフ全員に読んで欲しいのだろう。印刷して、皆の目に触れるよう掲示して欲しい旨が書かれている。
「確かに、みんなすごく頑張ってくれてるよね」
売場改変だけでない。モデル店舗としてオープンしてから、いつもと異なる売場配置に戸惑う顧客も多かった。その問合せや商品検索端末での対応を、実際にしてくれているのはスタッフたちだ。
苦労をかけているのに、スタッフたちは文句もなく仕事に励んでくれている。なんてありがたいことなのだろうと、私はそれを印刷しながら思う。
(朝礼でも、要約して共有しようかな)
そう思い読み込んでいると、とある文字が目に留まった。営業本部長からのメッセージの末文だ。
【――不動店長の本提案は現場からの声をよく集めており、結果こうして大きな評判を得ることができた。貴女には、今後も現場での活躍を期待している】
(〝現場での活躍〟か……)
心の内でつぶやき、思わず目を伏せる。
「私は、本部に求められてないのかな」
ぽつりとこぼした時、スタッフルームの扉ががちゃりと開いた。