クールな上司の〝かわいい〟秘密 ――恋が苦手なふたりは互いの気持ちに気づけない
 今日も無事オープンを迎え、いつものように店長業務をこなす。

 ランチから戻りスマホを見ると、茉寛さんからメールが届いていることに気づいた。
 とくりと胸が跳ねたが、プライベートな内容ではなかった。私と真霜に、客足が落ち着く夕方頃に三十分ほど予定を開けてほしいという。

(モデル店舗のことかな。それともなにか別のこと?)

 業務について、私だけでなく真霜まで同時にSVから呼び出されるなんて初めてだ。ちょっとした緊張を胸に、私は分かりましたと彼に返信した。

 約束の時間、私はミーティングルームで真霜とともに彼の到着を待っていた。
 なにを言われるのだろうとドキドキしてしまうが、緊張は真霜の方が酷かった。彼女は先ほどからずっと、小刻みに揺れている。

「大丈夫、きっといいことだよ。悪いことだったら、憂さ晴らしにラーメン行こう?」

 そう彼女に話しかけていると、ミーティングルームの扉が開いた。

 茉寛さんの後ろに、なぜか島崎店長がいた。しかも彼女はなにやら思い詰めたような顔をしている。ミーティングルームの空気が、一気に張り詰めた。

「わざわざ時間を作ってもらってすまない」

 茉寛さんはそう言うと、私と真霜の目の前に島崎店長を立たせる。すると島崎店長は震えながら、こちらに深々と頭を下げてきた。

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