クールな上司の〝かわいい〟秘密 ――恋が苦手なふたりは互いの気持ちに気づけない
「ごめんなさい。売場改変時のトドラー用パンツの発注数を変更したの、私なんです」

 彼女の言葉に、思わず目をまたたかせる。それは真霜も同じだったようで、彼女は私の隣でぽかんとしていた。

「あれは私の――」

 しばらくして真霜がぽつりと言ったが、島崎店長は俯いたまま小さく頭を振る。

「店長を集めたミーティングの日に、スタッフルームに行ったらパソコンが発注画面になっていて。誰もいなかったから、つい……。ほんの出来心だったんです。本当に、ごめんなさい」

 島崎店長の声は震えている。反省しているのだろう。だが、いつも快活で向上心のある彼女がそんなことをするとは思えない。

「どうしてそんなことを?」

 すると、島崎店長はゆっくりと話してくれた。

「私、思うように店舗運営ができなくて。不動店長は店長業務も完璧だし、そのうえモデル店舗になることも決まって――」

 島崎店長は私が売場改変案を本部に出したことを知り、真似をして推しグッズの展開案を茉寛さんに提出したそうだ。だが彼は、島崎店長にまずは完璧な売場を作れと伝えたらしい。

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