クールな上司の〝かわいい〟秘密 ――恋が苦手なふたりは互いの気持ちに気づけない
「店舗運営がうまくいかないのに、提出案も通してもらえない。智田SVに近づきたいって思うのに、それも全部不動店長が持っていっちゃう。なんでもできちゃう不動店長が、モデル店舗まで完璧にこなすのはなんだか嫌で、それで私……」

 彼女は言いながら、何度も目元を指で拭う。

「結局売場は綺麗にできあがっちゃうし、本当に馬鹿なことをしたなって今は思ってます。不動店長、真霜さん、本当にごめんなさい」

 彼女はそう言うと、再び私たちに深く頭を下げた。
 真霜は私の隣で、神妙な顔をしている。私もなんと言ったらいいか分からなくて、黙ったまま彼女の謝罪を受け取っていた。

 すると、彼女の隣に立っていた茉寛さんも頭を下げる。

「不動店長、真霜さん、この度は本当に申し訳ないことをした。自分の指導が至らなかった点も、今回の要因のひとつだと心得ている」

 SVからの直接の謝罪に、真霜は恐縮してしまったよう。肩を吊り上げたまま、口を開く。

「智田SVは悪くないですよ。それに、在庫確保のために仙台まで行ってくれたじゃないですか」

 茉寛さんは顔を上げたが、真霜に向けた視線は申し訳なさにあふれている。

「いや、俺がきちんと指導できていれば、あの事態は免れたんだ」

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