クールな上司の〝かわいい〟秘密 ――恋が苦手なふたりは互いの気持ちに気づけない
 すると彼女がはっとこちらを向いた。島崎店長の謝罪を聞いて思ったことだが、どうやら正解だったらしい。

 彼女は快活で、私とは一見タイプが違う。だけど、彼女はきっと私と同じ。胸の奥を吐き出すのが苦手なのだ。
 だから、苦しくても表に出さず、明るく振る舞いながら戦ってきたのだろう。別のことで評価されようとしたり、出来心で動いてしまったりと、やり方を間違えながら。

 島崎店長は耐えられなくなったのか、ぽろぽろと涙を流し始めた。
 だがしばらくして、ぽつりと言う。

「不動店長……ズルいですよ」

 それから、必死に手のひらで涙を拭う。

「島崎店長、彼女はズルなどしていない。不動店長は努力をして、今の基盤を作ったんだ。それにそれは、羨ましいと言うんだ」

 茉寛さんがそう言うと、島崎店長は自嘲するような笑みを浮かべた。力なくもれた吐息には、自分への皮肉が混じっているようだ。

「そうですね、羨ましいです。仕事も恋も、全部持ってっちゃう不動店長がとっても羨ましい」

 彼女はそこまで言うと、ちらりと茉寛さんを見た。

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