クールな上司の〝かわいい〟秘密 ――恋が苦手なふたりは互いの気持ちに気づけない
「ひな壇を置くとなると、その分だけ什器を減らす必要があるな。他商品の店頭在庫が減るが、どうする? それとも、什器を減らさずに通路幅を狭くするか?」

 私は思わず言葉に詰まってしまった。そこまでは考えていなかった。

「要検討事項だな」
「はい」

 バインダーに検討事項を書き加えながら、自分の至らなさにため息がこぼれそうになる。

(こんなことでいちいち落ち込んでいてどうするの? やると決めたんだから、頑張らないと)

 そう言い聞かせ顔を上げ、今度は私が持ってきた疑問を口にする。

「店頭展開の商品についてなんですけど――」

 すると、いつの間に立ち上げたのか自分のノートパソコン画面に目を向けていた彼が、ふと顔を上げた。

「うちの店舗だとベビー用のキャラクターパジャマやトドラー用の伸縮パンツが売れ筋なんですけど、プレブロ全体を見るとベビーインナーの方が売れ筋ですよね。モデル店舗として、どちらを店頭展開すべきなのでしょう?」

 私はプレブロの全商品カタログを取り出し、付箋しておいた該当商品のページを彼に差し出した。

 ベビー用品店とプレブロの差別化をするなら、キャラクターとのコラボレーション商品がもってこいだと思う。店頭で仕事をしていると、問い合わせを一番受けるのもキャラクターとのコラボ商品だ。
 だが今回の売場改変後、当店はモデル店舗になる。他店も改変すべきかどうかを決めるための実験店舗となるのだから、オリジナリティを出してはいけないとも思う。

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