クールな上司の〝かわいい〟秘密 ――恋が苦手なふたりは互いの気持ちに気づけない
 すると、彼女は困惑したような笑みを浮かべた。

「さすが茉寛さんですね。確かに、少し悩んでることがあります」
「話してくれないか?」

 すると、彼女の顔が再びかげる。だが少しの思案の後、口を開いてくれた。

「改めて相談してもいいですか? 今すぐには、少し話しづらいことなので」

 彼女は無理やり作ったような笑みを浮かべる。その表情に、智田の胸はチクリと痛んだ。
 だが、ここで諦めたくはない。

「分かった。では今夜、食事にでも――」
「ごめんなさい、今日ではなく後日にしてもらえますか?」

 里咲は智田の言葉を遮ってそう言う。

「……分かった」

 彼女の気持ちを尊重したい。そういう気持ちで答えたが、智田の心には真っ黒な影が落ちていた。

 自分を否定するような、芯のある強い口調。それに彼女の拒絶を感じ、ひどい絶望を感じてしまったのだ。
 智田の頭には、高校時代の苦い恋の記憶が再生されていた。

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