クールな上司の〝かわいい〟秘密 ――恋が苦手なふたりは互いの気持ちに気づけない
「この間の不動さんの言葉、茉寛は覚えてるか?」
立て続けに言われ、智田は考える。黙り込んでしまうと、茅野が呆れたように口を開いた。
「『好きな人に名前で呼んでもらえないのは、少し寂しい』だ。俺が思うに、不動さんは茉寛を好きだからこそ、悩んでいるんだよ」
「俺を、好きだから……?」
智田は彼の言葉をくり返す。
「仕事ばかりじゃなくて、恋人らしいことをもっとしたいんじゃないか?」
茅野の言葉に、智田は思い返した。
彼女と付き合ってから、恋人らしいことをしただろうか。そもそも、恋人らしいこととはなんだろう。
智田が考え込んでいると、茅野のポケットから振動音がした。スマホを取り出しその画面を見て、頬を緩ませる。
「悪い、嫁からだ」
彼は全然悪いと思っていなさそうな顔でそう言い、目の前で通話を始めた。
他に客のいない店内だ。いつもなら別に構わないと思うだろう。
だが今日は、目の前に恋に落ち込んでいる客がいるのに笑顔で嫁と話すのはどうなんだと思ってしまう。
立て続けに言われ、智田は考える。黙り込んでしまうと、茅野が呆れたように口を開いた。
「『好きな人に名前で呼んでもらえないのは、少し寂しい』だ。俺が思うに、不動さんは茉寛を好きだからこそ、悩んでいるんだよ」
「俺を、好きだから……?」
智田は彼の言葉をくり返す。
「仕事ばかりじゃなくて、恋人らしいことをもっとしたいんじゃないか?」
茅野の言葉に、智田は思い返した。
彼女と付き合ってから、恋人らしいことをしただろうか。そもそも、恋人らしいこととはなんだろう。
智田が考え込んでいると、茅野のポケットから振動音がした。スマホを取り出しその画面を見て、頬を緩ませる。
「悪い、嫁からだ」
彼は全然悪いと思っていなさそうな顔でそう言い、目の前で通話を始めた。
他に客のいない店内だ。いつもなら別に構わないと思うだろう。
だが今日は、目の前に恋に落ち込んでいる客がいるのに笑顔で嫁と話すのはどうなんだと思ってしまう。