クールな上司の〝かわいい〟秘密 ――恋が苦手なふたりは互いの気持ちに気づけない
 電車に揺られ、駅舎を出る頃には日が西に傾き始めていた。

「こっちだ」

 彼は言いながら、とある一本道へと向かう。

(こっちって……)

 間違いない。婚活パーティーでやってきた、あのホテルへと続く直結の道だ。

(どうして、そんなところへ?)

 疑問が頭に浮かぶが、彼はすたすたと先に行ってしまう。私もそれに続き、彼とともにホテルへ入る。

「あの、一体どこへ――」
「上の階にあるレストランを予約してある。眺めがいいと、評判なんだ」

 彼はそう言い、エレベーターホールで立ち止まる。私は思わず目を見開いたが。彼はためらいもなくエレベーターのボタンを押した。

 シースルーのエレベーターは、どんどん上昇してゆく。観覧車、赤レンガ倉庫、大さん橋。その向こうに広い海も見えるみなとみらいの景色は、確かに素敵だ。

 だが、私の頭の中は大量のクエスチョンマークがぐるぐると回っていた。

(なんで? ここのレストランって、高級だよね?)

 訳の分からぬまま、思っていた通り高級な店構えのレストランへと連れて行かれる。
 茉寛さんがレセプションに声を掛けると、そのままウェイターに連れられあれよあれよという間に窓際の席へ着席させられた。

< 183 / 206 >

この作品をシェア

pagetop