クールな上司の〝かわいい〟秘密 ――恋が苦手なふたりは互いの気持ちに気づけない
「へ?」

 思わぬ彼の言葉に、間抜けな声を出してしまう。
 すると、彼は瞠目し固まってしまった。彼の頬が、徐々に赤らんでくる。

「俺はまた、間違えたのか」

 彼はぼつりとそうこぼし、こちらをちらりと見る。それからほうと息をつき、再び口を開いた。

「俺との付き合い方に不満があるんじゃないのか? 俺が気持ちを伝えていないのを、不安に思っていたんじゃないのか?」

 彼の言葉に、私は自分の言動を振り返った。
 確かに、店舗のスタッフたちには悩みを悟られまいと無理やり明るく振る舞っていたかもしれない。それに――。

『後日、改めて相談してもいいですか? 今すぐには、少し話しづらいことなので』

 彼に伝えたその言葉は、思わせぶりな発言だと捉えられてもおかしくない。

「もしかして、私の相談ってそういうことだと……?」

 改めて聞くと、彼は赤い頬のままこくりと頷いた。そんな彼は、今はもう耳まで真っ赤だ。
 私はつい、くすくすと笑ってしまった。

「私がしたかったのは、仕事の相談です」

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