クールな上司の〝かわいい〟秘密 ――恋が苦手なふたりは互いの気持ちに気づけない
「仕事……」

 彼はぽつりとそうこぼし、テーブルにのせていたのと反対の手で髪をかき上げるようにして頭を抱える。

「はあ、すまない。やっぱり、俺は先走ってしまったんだな」

 そこまで言うと、恥ずかしそうにこちらを見た。

「俺は里咲の恋人である以前に、里咲の上司だということを失念していた。どうして俺はこうも、そればっかりになってしまうのだろう」

 ため息交じりにそう伝えてくる彼を見ていると、つい胸がうずうずしてしまう。

(茉寛さん、やっぱりかわいい)

 だが、私の様子が自分の前だけ違うことに気づき、こうして行動してくれた。そんな彼に、愛しさが募らないわけがない。
 私は笑みを浮かべたまま、彼の手元にあったネックレスを手に取った。

「これ、受け取らせてください。茉寛さんの気持ちは、とても嬉しいですから」

 言いながら、自分で着けてみる。ころんとしたダイヤが控えめに胸元で輝く。これが彼からの愛の証拠だと思うと、頬が綻んで仕方ない。

「似合ってますか?」

 すると、茉寛さんは照れくさそうに答えてくれた。

「ああ、とても」

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