クールな上司の〝かわいい〟秘密 ――恋が苦手なふたりは互いの気持ちに気づけない

 仕事の相談なら別の場所がいいだろうということで、私たちは食事を終えると駅前にあるチェーン店のカフェに向かった。
 平日の夕方ということもあり、店内は学生が多くざわざわとしている。

 互いにコーヒーを頼んで隣同士のソファ席に座ると、さっそく茉寛さんが口を開いた。

「部下の悩みに気づけなかったこと、まずは謝らせてくれ。すまなかった」
「いえ、私、茉寛さんには感謝してるんです。私ひとりじゃ見られなかった景色を、見せてくれましたから」

 モデル店舗への売場改変なんて、店長である私ひとりでは絶対にできなかった。企画から実施、そして今成功といえる実績を出せたのは、彼がバックアップし支えてくれたおかげだ。

「話してくれるか?」

 彼の優しい声色に、私はこくりと頷いた。
 先ほどの彼の勘違いが、いい感じに緊張をほぐしてくれた。なにより、あんなに私のことを考えてくれる彼になら、話したほうがいいと思った。

「実は、本部に行きたいと思っているんです」

 すると、茉寛さんの目がわずかに見開かれる。それで、続きをのみ込んでしまった。
 やっぱり、私には本部は向かないと言われてしまうと思ったのだ。

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