クールな上司の〝かわいい〟秘密 ――恋が苦手なふたりは互いの気持ちに気づけない
「え?」

 頭上から降ってきた声に、思わず顔を上げる。彼は相変わらず、感情の分からない顔をしていた。

「話をしてみたいと言っただろう。眼鏡の礼も兼ねて、今日がその機会になればと思ったんだが――」

(社交辞令じゃなかったんだ)

 なぜか安堵とともに胸がトクトクと鳴る。
 嬉しさから顔をまじまじと彼の顔を見てしまうと、彼はふいっと視線を逸らしてしまった。

「迷惑だっただろうか?」
「いえ、特に予定もないですし大丈夫です」

 すると、智田SVが再びこちらを見る。その表情は、心なしか優しい気がする。

「そうか、よかった」

 智田SVはそう言うと、すぐに歩き出した。

「どこか、おすすめのお店でもあるんですか?」

 彼について行きながら聞くと、彼は「ああ」と短く答えてくれた。


「ここだ」

 駅から歩いて五分ほど歩いたところで、彼は立ち止まった。
 白塗りの外壁の、一見住宅のようなお店。手作り感あふれる看板には『ダイニングバー SOUTH RIVER』と書いてある。

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