クールな上司の〝かわいい〟秘密 ――恋が苦手なふたりは互いの気持ちに気づけない
『俺、お前のこといいなと思ってたんだけど』
苦笑いを浮かべながらそう言った彼は翌日、私の友人とお付き合いを始めた。たまに寂しそうな視線をこちらに向けながら。
彼はどういうつもりで私を見ていたのだろう。そんなことをぐるぐる考えては、毎晩ベッドの中で人知れず泣いた。友人が幸せそうな顔で彼氏とのことを話すのを、笑顔を浮かべながらも複雑な気持ちで聞いていた。
私が感情をうまく出せなくなってしまったのには、ここにも原因がある。素直な気持ちを言葉にすることで、自分が傷つくのが怖いのだ。
(本当の感情は見せてはいけない、悟らせない。特に、異性に『かわいい』は一番の禁句)
私は自分にそう言い聞かせる。
智田SVに恋をしているわけではないけれど、彼は大切な仕事のパートナーだ。上司と部下として、やりにくくなるのはどうしても避けたい。
ひとりでは手の届かないところに、手を届くようチャンスをくれたのが彼だ。そんな尊敬する上司に、『かわいい』など口が裂けても言ってはいけない。
(『かわいい』は胸の内に秘めておこう。もし彼がドジをするようなら、私はそれを〝カバーする〟に徹するべきだよね)
彼のクールなイメージを壊さぬため、『かわいい』を言わぬため、そうするのが一番いいだろう。
そう思っていると、店主らしき男性がたこわさの鉢を持ってこちらへやってきた。
苦笑いを浮かべながらそう言った彼は翌日、私の友人とお付き合いを始めた。たまに寂しそうな視線をこちらに向けながら。
彼はどういうつもりで私を見ていたのだろう。そんなことをぐるぐる考えては、毎晩ベッドの中で人知れず泣いた。友人が幸せそうな顔で彼氏とのことを話すのを、笑顔を浮かべながらも複雑な気持ちで聞いていた。
私が感情をうまく出せなくなってしまったのには、ここにも原因がある。素直な気持ちを言葉にすることで、自分が傷つくのが怖いのだ。
(本当の感情は見せてはいけない、悟らせない。特に、異性に『かわいい』は一番の禁句)
私は自分にそう言い聞かせる。
智田SVに恋をしているわけではないけれど、彼は大切な仕事のパートナーだ。上司と部下として、やりにくくなるのはどうしても避けたい。
ひとりでは手の届かないところに、手を届くようチャンスをくれたのが彼だ。そんな尊敬する上司に、『かわいい』など口が裂けても言ってはいけない。
(『かわいい』は胸の内に秘めておこう。もし彼がドジをするようなら、私はそれを〝カバーする〟に徹するべきだよね)
彼のクールなイメージを壊さぬため、『かわいい』を言わぬため、そうするのが一番いいだろう。
そう思っていると、店主らしき男性がたこわさの鉢を持ってこちらへやってきた。