クールな上司の〝かわいい〟秘密 ――恋が苦手なふたりは互いの気持ちに気づけない
「ばななちょこくれーぷ、できた!」

 子どもの無邪気な声がする。するとその声にはっとしたのか、町田店長は気まずそうな顔をして島崎店長に頭を下げた。

「ごめん、島崎店長。ちょっと飲みすぎたみたいだ」

 彼は心から反省しているのか、少し小さくなっている。そんな彼に、島崎店長は「いいえ」と首を横に振った。

「っていうか、私も恋愛には興味ないので。推しを推すので、精一杯なんです!」

 島崎店長はそう言うと、スマホのロック画面をこちらに見せてきた。

「見てください! 私の推し、あっくんです」

 そう言う彼女の顔はキラキラしていて、心から彼が好きなのだと伝わってくる。

「アイドルグループの、センターの子だ」

 私がぽつりとそう言うと、島崎店長の目の色が変わった。

「不動店長、もしかしてランプリに興味あります?」

 島崎店長は前のめりになってそう言う。
 私は思わずのけ反った。あのグループの略称はランプリだったな、と思い出しながら。

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