クールな上司の〝かわいい〟秘密 ――恋が苦手なふたりは互いの気持ちに気づけない
『いじわるで言っているわけじゃないのよ。いざ里咲が結婚して子どもを授かっても、産む頃には三十越えてるでしょう? もしそれが双子だったりしたら、本当に大変なのよ。お母さんもよく思ったものよ、子どもを産むなら二十代の方がよかったって』

 母の言うことはもっともだ。母と父が自分のこともままならないまま、双子のお世話に奮闘している様子を間近で見ていた。だからこそ、母の気持ちもよく分かる。

 とはいえ、当人にはどうしようもないことだってある。

「でもさ、恋とか結婚って、巡り合わせみたいなものじゃない。お母さんはお父さんと出会えたけど、私はまだ――」

 そこまで言って、続きをのみ込んでしまった。脳裏に、智田SVが浮かんでしまったのだ。

(どうして彼が出てくるの? 彼への気持ちは恋じゃなくて〝推し〟でしょう?)

 つい慌て、心の内で自分にそう言い聞かせる。すると、電話口から再び母の声が聞こえてきた。

『だから、電話したのよ』

 そんな母の声は、なぜかうきうきしている。

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