クールな上司の〝かわいい〟秘密 ――恋が苦手なふたりは互いの気持ちに気づけない
『里咲の勤めている方で、婚活パーティーを見つけたのよ。おせっかいかもしれないけれど、一度行ってみたらどう? お隣の家のしょうちゃんも、こういうパーティーでお嫁さん見つけたって聞いたの』

 ――なるほど、そういうことか。

 母の魂胆がやっと分かり、私は胸の内でため息をこぼした。『恋をする相手に、自ら巡り合いに行け』ということだ。

『あとでメール送るわね。申し込んでおくから、ちゃんと見るのよ』

 母は私にそう念押しすると、私がなにかを言う前に電話を切った。

(普段は機械が苦手だからって電話ばかりしてくるのに、こういう時にはなんか上手く機械使いこなせるのよね)

 火事場の馬鹿力とはちょっと違うかもしれないけれど、母はこういう時、確実に申し込みまで済ませてしまう。三十を目前にした娘に男っ気ひとつないのを心配し、相当焦っているらしい。

(それにしても、勝手に申し込むって……)

 私は真っ黒になった画面を見て、今度こそ本当にため息を吐き出す。そこに映る自分の顔は、面白いくらいにどんよりと曇っていた。

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