クールな上司の〝かわいい〟秘密 ――恋が苦手なふたりは互いの気持ちに気づけない
「君との話は面白いね。まるで、ビジネスの話をしているみたいだ」

 それで私ははっとした。

『みたい』ではない。これはビジネスの話だ。この場にそぐわない話だと、と暗に言われたのだ。

「すみません、つい」
「いや、僕も面白かったよ。君みたいな女性とは、いつか〝仕事で〟ご一緒できたら嬉しいよ」

 彼はそう言うと、爽やかな笑みを残し私に背を向けた。

(ああ、やってしまった……)

 仕事で一緒にという、彼の気遣いがちくちくと胸に刺さる。

(こんな恰好をしたって、私は私。どんなに外見を取り繕ったって、私は変わらないんだ)

 恋の仕方が、私にはやっぱりよく分からない。

(真霜、ごめん。私には無理だよ)

 心の内で散々アドバイスをくれた彼女に懺悔して、私は早々に婚活パーティー会場を後にした。

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