クールな上司の〝かわいい〟秘密 ――恋が苦手なふたりは互いの気持ちに気づけない
 まだ予定時間よりは早いからと、しばらく立ちつくしふたりの会話を聞く。真霜が不動に自分の愛用しているサイトや雑誌を紹介し、ふたりの会話は終わってしまった。

(婚活パーティーなんて、不動は結婚する気なのか?)

 ふたりきりのミーティング中、冷静を装いつつもそのことがぐるぐると頭に回り続ける。
 そんな智田は、彼女の店舗を出てすぐ、婚活パーティーについて調べた。

 彼女の向かうだろうパーティーの検討がつくと、当日彼女を会場の前で待ち伏せた。偶然を装って話しかけ、彼女をパーティーに行かせないつもりだった。

 だが、なにもできなかった。
 口を開き彼女を止めようとするも、飛び出るのは他愛もない言葉ばかりだった。それだけでない。

『女性だと色々あるんですよ。子供産んで、お世話して……って考えると、けっこうぎりぎりな歳なんです』

 将来を具体的に考え、親に勧められたと言いつつも行動に移す不動に返す言葉もなかった。

 互いにこの年齢だ。付き合うということは、その先を見据えるのは当たり前のこと。
 もし彼女と付き合えたとして、この先も自分はドジばりするだろう。そんな自分は、彼女と結婚なんてできるのだろうか。

『智田SVは考えていないんですか? 結婚、とか』

 不意に飛んできたその質問に、今はまだ無理だと反射的に思ってしまった。

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