滾る恋情の檻
再会
春。
S大に無事合格した美子は、高校の頃とは少し違う自分になっていた。
髪を染め、メイクを覚え、流行の服を着こなす。
鏡に映るのは「昔の自分」ではなく、少し背伸びをした「大人びた自分」。
その変化の裏にあったのは、たったひとつの思い。
――もし偶然でも先輩に会えたら、可愛くなったって思われたい。
一人暮らしも始まり、自由な生活に胸を弾ませながらも、
心の奥底ではずっと「この大学には結城先輩がいる」という事実だけで毎日が色づいていた。
先輩とは違う学部を選んだ。
あえて別の学部――同じ学部だと本当にストーカーみたいだし、
せっかく大学に行かせてもらえるんだから、自分が本当に興味のある分野を学びたかったから。
それでも、この大学に進学した時点で、美子の遥への執着は隠しようのないものだった。
初めてキャンパスに足を踏み入れたとき、自然に息が詰まった。
(ここに、先輩が……)
胸の奥からせり上がる高鳴りに、頬が熱くなる。
先輩に、会えるかもしれない。
そう思うだけで、あの頃のドキドキ、甘く苦しい感覚が、一瞬で蘇った。