滾る恋情の檻
そのまま玄関からベッドへと移され、美子は押し倒される。


遥の影が覆いかぶさり、真上から彼女を射抜くように見下ろした。


真っ暗な部屋の中、半分開いたカーテンの隙間から差し込む月光が、遥の輪郭を淡く照らす。


影と光が混ざる中で、彼の瞳は冷たく光り、口元にはゾクリとするほど妖しい笑みが浮かんでいた。



高校の頃の面影は残るものの、そこに漂うのは大人の色気──息を呑む美しさだった。



「俺ね、ずっとこの時を待ってたんだよ」


低く静かな声。だが言葉の底に、抗えない強さが滲む。


「えっ……」


息を呑み、美子は瞬きを繰り返す。


「美子ちゃんに、こうやって触れる日を」


――次の瞬間、首筋に唇が落ちる。


「あ……っ、ん……っ、せんぱい……」


軽く歯を立てられ、痺れるような刺激が広がっていく。


やがて遥の指先が服の下へと忍び込み、ほんのわずかに胸の先を撫でる。


「あっ……ん……」


焦らすような指の動きに、声が上ずり、思わず腰が動いてしまう。


その反応に、遥がくすりと笑った。


(どうして……こんな……)


指先が下へと滑り、布越しに触れられた瞬間、体が硬直する。


「…ぁ…っ」


すぐに湿った感触を確かめるように触れられ、背筋が震えた。


「そんなに、触ってないのに……もうこんなに濡れてるんだ?」


いつもの、柔らかな声色とは違う、冷ややかで無機質な響き。


「……っ」


驚きと羞恥で目を見開いた美子に、遥はさらに顔を寄せる。


「ねぇ、美子ちゃん」


耳元で低く囁かれる。


「俺さ、ずっと美子ちゃんのSNS見てた。大学に入ってから、会えない間ずっと。誰と会って、どんな生活してるのか……全部」


「……え……」


背筋が震える。


高校時代、自分も同じように遥のことを探していた。けれど、まさか彼も――。


「拓也からも、さりげなく聞いてた。S大受験することも……」
 
「美子ちゃんが、どんな彼氏と付き合って、どう別れたのかも……全部知ってた」
 
胸の奥がひゅっと鳴り、美子は息を詰めた。


遥は笑っていた。だがその瞳は笑っておらず、抑えきれない苛立ちが滲んでいた。


それは――嫉妬と独占欲。
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