滾る恋情の檻
卒業して大学に進学してからも、七瀬美子の存在は頭から離れなかった。
――いや、離れるどころか、ますます大きくなっていた。
スマホを開けば、まず美子のSNSを探す。
直接フォローなんてしない。そんなことをしたら拓也に怪しまれる。
けれど、共通の友達や拓也の投稿から、美子のアカウントには簡単に辿り着けた。
楽しそうに友達と笑っている写真。
授業の合間に撮ったであろう何気ない日常。
時折アップされる、自撮りやスイーツの写真。
――全部、見ていた。
誰と会って、どんな場所に行き、どんな生活を送っているのか。
新しい服を買ったこと、友達と映画を観に行ったこと、風邪をひいて寝込んでいること。
そのすべてを、遥は知っていた。
「……変わってないな」
柔らかい笑顔。伏せがちな瞳。写真越しでも、あの日の面影が鮮明に蘇る。
――リビングで交わした、たった一度のキス。
あの瞬間から、美子は遥の中で、完全に“特別”になった。