滾る恋情の檻
気づけば、身体が勝手に動いていた。
目の前に影を落とし、そのまま唇を塞ぐ。
「……っ」
硬直する美子の瞳が大きく見開かれ、次の瞬間、頬が一気に赤く染まった。
その顔を見て――悟った。
(初めてのキスか)
胸の奥から、じわじわと優越感が湧き上がる。
(俺が奪ったんだ。誰より先に)
強烈な独占欲が、全身を貫いた。
けれどそれを悟らせるつもりはなかった。
唇を離すと、困惑する彼女に対して平然を装い、笑みを浮かべ、
「美子ちゃんが可愛かったから」
と答えた。
――本当は、今すぐ押し倒して、この子の全部を俺のものにしたい。
ノートに視線を落としながらも、その思考は頭の中を埋め尽くす。
ぐちゃぐちゃにして泣かせたい。俺以外の男なんて見られなくしたい。
その時、玄関のドアが開く音がした。
「ただいまー!」
拓也が戻ってきた。
俺はすぐに頭に浮かんだ思考を消し去り、笑顔を作り直す。
「美子ちゃんの宿題、勝手に見てた」
平然と答え、いつも通りの俺を演じる。
けれど振り返りざま、美子とだけ視線を交わし、人差し指を唇に添えた。
「――秘密だよ」
誰にも知られない、この甘い背徳。
心の奥底で、熱く狂おしい執着が静かに膨れ上がっていった。
目の前に影を落とし、そのまま唇を塞ぐ。
「……っ」
硬直する美子の瞳が大きく見開かれ、次の瞬間、頬が一気に赤く染まった。
その顔を見て――悟った。
(初めてのキスか)
胸の奥から、じわじわと優越感が湧き上がる。
(俺が奪ったんだ。誰より先に)
強烈な独占欲が、全身を貫いた。
けれどそれを悟らせるつもりはなかった。
唇を離すと、困惑する彼女に対して平然を装い、笑みを浮かべ、
「美子ちゃんが可愛かったから」
と答えた。
――本当は、今すぐ押し倒して、この子の全部を俺のものにしたい。
ノートに視線を落としながらも、その思考は頭の中を埋め尽くす。
ぐちゃぐちゃにして泣かせたい。俺以外の男なんて見られなくしたい。
その時、玄関のドアが開く音がした。
「ただいまー!」
拓也が戻ってきた。
俺はすぐに頭に浮かんだ思考を消し去り、笑顔を作り直す。
「美子ちゃんの宿題、勝手に見てた」
平然と答え、いつも通りの俺を演じる。
けれど振り返りざま、美子とだけ視線を交わし、人差し指を唇に添えた。
「――秘密だよ」
誰にも知られない、この甘い背徳。
心の奥底で、熱く狂おしい執着が静かに膨れ上がっていった。