滾る恋情の檻



そんな、俺の欲望なんて知るはずもない美子は、
新歓のあと、あっさりと俺を家にあげた。


「スリッパあるので、使ってくださ……っ」


緊張した震える声で、言いかけた美子の腕を、掴む。


閉まったドアの音が背後に響くのと同時に、彼女の背を壁に押しつける。


――ずっと抑えていた衝動が、ここで一気に溢れた。


(……警戒心、なさすぎだろ)


思い返す。


さっきの新歓。


居酒屋のざわめきの中で、美子は一瞬で注目を集めていた。


「え、あの子ヤバくね? 可愛すぎ」

「彼氏いんのかな?」

「マジで狙おうかな……」


隣のテーブルから聞こえてきたそんな声に、
俺はグラスを持つ手の中で、舌打ちをこらえた。


(……お前らなんかが触れていい子じゃない)


彼女自身は無自覚なのかもしれないが、あの頃の無垢さに、今はほんの少し大人の色気が混じっていて――それが余計に男たちの欲望を煽っていた。


その笑顔一つで簡単に「狙おう」と思わせてしまう。


(……ホント、危なっかしい)


しかも、警戒心なんてゼロ。


さっきだって、男に「送ろうか」と言われて、断れずに頷こうとしていた。


もし俺が割り込まなかったら、そのまま別の男と帰っていたかもしれない。


(……許せるわけない) 


だから、こうして強引にでも手に入れるしかなかった。
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