桃果の契り 才人妃は皇太子に溺愛されて
胸の奥で何かがはじけた。私が知る煌は違う。

いつも私を求め、時間をかけ、反応を確かめるように抱いてくれる。

――一緒じゃない。煌は、皇后様には心を渡していない。

安堵と罪悪感が同時に込み上げ、指先が震えた。

「そうですね……結婚式でお疲れなのかもしれないです。」

私は必死に笑みを作り、言葉を返した。

少しでも誤魔化せたなら――そう思ったけれど。

「でもね、小桃。」

紅蓮様の瞳には、確かな光が宿っていた。

「煌明の跡継ぎを産むのが、私の役目なの。」

「皇后様……」

胸が締めつけられるように痛む。

「煌明から求められなくてもいい。……子供さえできれば、それで務めは果たせるのだから。」

その声には、一分の迷いもなかった。

王族の娘として、皇后として。誇りと義務だけで自分を支えている。

――そんな強さを見せつけられた気がした。
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