桃果の契り 才人妃は皇太子に溺愛されて
(なんて……強い方なのだろう。)

私は俯いた。

もし煌から求められなくなったら……きっと私は耐えられない。

愛されない日々に押し潰されて、悲しくて、死んでしまうかもしれないのに。

数日後、久しぶりに、夜伽の番を仰せつかった。

桃の香りの湯浴みに身を沈めると、胸がときめいて仕方なかった。

(今夜は……煌と心ゆくまで一緒にいられる。)

熱を帯びた頬を押さえながら、煌の寝所に足を踏み入れる。

「小桃。」

次の瞬間、扉を閉じる間もなく抱きしめられ、唇を奪われた。

その熱と激しさに、体が震える。

「この時を……どれほど待っていたか。」

切なげな声が耳元を掠め、胸が熱くなる。

「私も……」

囁くと、煌は私を軽々と抱き上げ、寝台へと運んだ。

布団に包まれると同時に、その唇が再び重なり、息を奪う。

指先が髪を梳き、頬を撫で、全身を愛おしむように触れる。

「小桃……君が欲しくてたまらない。」

耳元で囁かれた言葉に、涙がにじんだ。

皇后様の存在に怯えていた心が、溶けていく。

(ああ……私が愛されているのは、間違いない。)

その夜は、煌の想いと熱に全身を包まれ、果てしなく愛された。
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