桃果の契り 才人妃は皇太子に溺愛されて
「妃とは名ばかりで……皇太子様に会うこともないのです。」

私はぽつりとこぼした。

才人という身分では、呼ばれることなどほとんどない。

お茶会も、庭園の散策も、すべて身分の高い妃だけに許されたこと。

私のような才人は、ただ後宮の片隅で日々を過ごすだけだった。

「そうなのか。」

煌は腕を組み、少し考えるような顔をした。

「なら、こうして俺と桃を食べながら話す時間のほうが、よっぽど楽しいんじゃない?」

「え……?」

拍子抜けするほどあっけらかんとした言葉に、思わず瞬きをした。

後宮に入ってから、私の胸を締めつけていた寂しさや窮屈さが、その一言でふっと軽くなる。

「俺は小桃と話すのが好きだ。妃だとか才人だとか、そういうのは関係ない。」

煌がにっこり笑ってそう言ったとき、胸の奥にあたたかいものが広がった。

妃としての誇りも、寵愛を受ける夢もない。

けれど、この武人と過ごすひとときがあれば――私はきっと、ここで生きていける。
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