カッターナイフ / 一生涯抜くことの出来ないある男の話
 尾道駅に到着すると予定通り伯母は迎えに来てくれていた。

そこで従兄の状態を聞くと、予想以上に回復が早くもう退院して自宅にいる、ということが聞けて洋平は再度胸をなでおろした。
 
伯母宅につくと、伯父と従兄がいた。

「寒かったじゃろ。まあ上がんなさい。」

伯父が歓迎してくれて部屋にいくと従兄がいた。

「洋平。元気にやっとようやの。

ありがとね、心配掛けたかな。

でももう大丈夫やて医者にも言うてもろて。まだ松葉杖でしか歩けんけどな。」

兎も角元気そうな従兄を見て洋平は安心した。

「兄ちゃんこそ、えらい目に遭うて大変やったね。

バイクはやっぱり怖いなあ。」

他愛もない会話だったが洋平は嬉しくなった。

その夜は伯母の手作り料理で御馳走してもらえた。

正月前ではあったが洋平が鰻、が好きな事を覚えていてくれていた様子で、鰻のかば焼きも用意してくれていた。

夜は従兄といろんな話が出来た。

以前遊んでもらった友人らの事とか。

「あいつらとはまあ、悪さもしたけどみんなええやつ、や。

拓海ておったやろ。

あいつ、知らん間に女作りよってな。

今はそっちに忙しいみたいで。」

拓海は洋平にタバコを勧めてくれた人でひとなつっこい性格なところが洋平は特に気に入っていた。

しかもカッコいい。

他のみんなのこともいろいろと話が聞け、夏休みの記憶がどんどんと戻ってくるのが洋平は楽しくて仕方が無かった。
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