カッターナイフ / 一生涯抜くことの出来ないある男の話
 二学期は終わった。

洋平にとっては二度目の一人旅ということになる。

洋平がまず心配したことは、天候であった。

武庫之荘から尾道まで、万が一大雪などの災害で電車が止まる可能性を心配した。

そして滞在する日数なども伯母方と話を進めていった。

そこで従兄についての現在の状態なども聞くことも出来た。

幸いなことに、うまくいけば年内に退院出来るかもしれないことを教えてもらった。

洋平は少し胸をなでおろせた。

尾道に一人で再び出向く時間になった。

電車の中でいろんなことを考えた。

まず従兄への心配、その友人達との再会出来る喜びとか。

でも一番自分が望んでいる事、その少女についてはまったくの無計画であった。

どのようにしたらもう一回、会ってもらえるのか。

自分と話してもらえるのか。

中学生だったからこんな無計画なことが出来た。

しかも相手は自分よりひとつ年上で、高校受験に一番大事な時期である。

従兄や友人を頼るしかないな、と考えた。

それしか方法が思い浮かばなかった。

そして自分の気持ちを全部、みんなに話してもいいという度胸も身に付いていた。

お正月の時期なので初詣という機会が一番、彼女にとって迷惑が掛からないのかなとも考えた。

相手の事は何にもまったくわかってないのに。いきなり急にそんなことを言われても、まず断られるに決まっているかなとも感じている。
 
でもそれ以上に会いたかった気持ちの方が遥かに勝っていた。
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