カッターナイフ / 一生涯抜くことの出来ないある男の話
 次の日は12月30日であった。

お正月まであと2日。

はたして洋平が希望するような事が実現するのかはわからなった。

従兄は動いてくれた。

まずその友人に電話を掛けてくれた。

一度目は留守であったが夕方、従兄は友人と話が出来た。

「俺の舎弟みたいな従弟がな。

あの祭りの時に一回会うたやつや。

そうそう、ちょっと真面目そうなおとなしいやつや。

こいつが、お前の妹に、も一回会いたい言うとってな。

どうなん、か聞いてみたってくれへんか。」

どうも従兄はちょっと仲間内では顔が利くような存在なんや、と洋平は少し驚いた。

「まあどうかわからんけど、一回聞いてみたるわ。

受験でちょっとは勉強もしとるけど、まあ大したとこ希望しとるようでもないやろし。

あいつにもええ暇つぶし、になるかもしれんしな。」

その後、友人から従兄に連絡があったのはその夜であった。

洋平の希望は見事に叶える事が出来た。

ちょっと信じられないことが起こった事が不思議にも思えた。

待ち合わせは洋平が予想したように、元日の初詣の時であった。

時間は午前の11時に近くの神社内にある大きな目立つ木の下で、ということであった。

もちろん、その少女とだけでの再会である。

その部分は従兄や友人は心得ていてくれていた。

洋平はなぜか、落ち着いていた。

普通、自分がそこまで熱望した事が実現出来たのでもっと嬉しく感じるはずであったが、自分でも驚くほど冷静でいられる。

それが自信なのか、何なのかはわからない。
< 12 / 22 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop