カッターナイフ / 一生涯抜くことの出来ないある男の話
 元旦の朝は8時くらいに伯父・伯母がおせちを用意してくれてごちそうしてくれた。

その日は快晴でほんとに気持ちの良い、一年の始まりにふさわしい天候に恵まれた朝で。

自分の家にも電話で正月の挨拶はした。

元気でやってて、尾道に来てよかったという素直な気持ちを親・妹に伝えた。

従兄は

「俺は今こんなじゃけ、一緒に行けんけどお前、ひとりであの神社行けるやろ。

場所も知っとるやろ。

こっからやったら20分もあったら行けるけ、言って来いよ。」

ニタニタ笑いながら言ってくれた。

洋平はちょっと心細くなったが従兄の状態から見たら連れて行ってもらえるようにも見えなかったし、覚悟は決めている。

でも迷って遅れでもしたら大変なんでもう一回、神社に行くまでの道筋とかを聞いて確認して、10時半までに出発しようと思い、家から出た。

快晴であったとはいえ、気温は低く暖かい服装で出掛けたがやっぱり少し寒かった。

だか洋平は今、確実に自分の思うように事が進んでいる。

今まで消極的で内気な性格はなぜそうだったのかな、と不思議にも思えてくる。

何か自分が確実に変わっていく実感。

神社に到着するまではそういう気持であった。

が、いざ神社が近づいてくるにつれて緊張はやはり高まってきた。

今まであまり人に対してここまで緊張を持ったことは無かった。

あえて無気力で無関心を自ら装って、殻に閉じこもっていたのかもしれない。
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